ティアックが1978年に発売した超高級カセットデッキ。dbxユニットやオーディオミキサーなどでシステムMODEL C−1 ¥239,000(本体のみ)TEAC C−1
アップができる仕組みになっていて,プロ用機のようなデザインと合わせ,すごくかっこよかったことが印象
に残っています。でも,写真のようにシステムアップするとなると,さらに182,800円もかかり,あわせると
合計421,800円の超高級デッキになるのでした。ティアックの最高級カセットデッキとして君臨した本機は,当然コンビネーションヘッドによる3ヘッドでした。
ヘッドの材質は,当時最先端のフェライトで,優れた硬度と磁気特性を誇りました。コバルトテープ(ハイポ
ジションのテープをティアックではこう呼んでいた。)で20〜20,000Hzの優れた特性を誇りました。当然
当時はメタルテープはなく,テープポジションは,Normal,CrO2,FeCr(!)の3ポジションでした。FeCr
ポジションが時代を感じさせます。翌年の1980年に出されたC−1mk2では,メタル対応となり,その代
わりにFeCrポジションがなくなっていました。
走行系は,3モーター構成で,頑丈なダイカストシャーシにマウントされたいかにも剛性の高そうなメカニズ
ムを持っていました。当時,ナカミチのカセットデッキを見に行って,店員さんに「これは,オープンリール並
のメカだよ。」と言われて,ぐっと心を惹かれたことを思い出します。(しかし,結局私はナカミチの方を買い
ましたが・・・。)とにかく,その内部を見て(あけて見せてくれた。)全体にプロ機を思わせるごつい感じを覚
えています。デュアルキャプスタンの搭載は当然のことのように行われ,しっかりした走行系を構成してい
ました。
アンプ系は,DC構成で,構成とパーツを厳選して採用した高性能なものだったようです。テープの特性に
対するチューニングができるようになっていましたが,ふつうの方式と異なり,「プラグイン式」といって,
BIAS/EQカードというカード状のアダプターに半固定抵抗がついていて,ドライバーを差し込んで調整す
る仕組みになっていました。このBIAS/EQカードをテープの種類ごとに用意しておけば,そのテープの
特性を固定して残しておくことができ微調式と固定式の良さを兼ね備えたプロ用の測定器に使われている
方式で,プロ機のようでとてもかっこよかったように記憶しています。(現在ならばコンピュータを使い,一つ
一つのテープの特性をメモリーするところでしょうが,そのマニュアルでの調整感がかっこよかった。)
![]()
このC−1は,専門メーカーらしく,プロ機のノウハウやデザインをうまく取り入れた非常に格好の良いモデル
で,当時心惹かれるものがあったように思います。ツマミ等も非常に高精度なもので,ティアック独特の質感
が魅力的でした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
未知の音 C−1
3モーター,デュアルキャプスタン
精度を高めたメカニズム
| ◎本格的3ヘッド時代の到来 |
| ◎カセットでは初めてdbxシステム採用 |
| ◎明晰なテープの流れ,デュアルキャプスタン |
| ◎DC構成のアンプ回路 |
| ◎プラグイン式のBIAS/EQカード |
|
◎発展的グレードアップのためのシステム構想 |
| ●MX−8 ¥39,800 4入力2出力,パンポット付の
音質重点設計オーディオミキサー |
| ●RX−8 ¥98,000 dbxタイプUユニット |
| ●CS−8 ¥45,000 本体,MX−8,RX−8を
同時にマウントできるポータブルケース |
| ●VX−4 ¥20,000 据置型のシステムラック |
| ●CZ−8 ¥1,000(1枚) CS−8,VX−4でミキサー
やdbxを使用しない場合に使うブランクパネル |
| ●CX−8 ¥3,000 BIAS/EQカード
(C−1,C−2のみ可) |
| ●TO−8 ¥5,500 テストトーンオシレーター
(周波数400Hz,6.3kHz,12.5kHz) |
| ●RC−90 ¥10,500 リモートコントロールユニット |
| トラック形式 | 4トラック2チャンネル |
| ヘッド構成 | 3ヘッド |
| 使用カセットテープ | C−30〜C−90 |
| モーター | PLLサーボDCモーター
(キャプスタン用×1) DCモーター (リール用)×2 |
| 駆動方式 | デュアルキャプスタン |
| ワウ・フラッター(WRMS) | 0.04% |
| 早巻時間 | 70秒以内(C−60) |
| 総合周波数特性 | 20〜20,000Hz(コバルトテープ) |
| SN比(3%THDレベル,WTD) | 60dB
80dB(dbx IN) |
| 入力 | マイク:0.25mV/−72dB
(適合インピーダンス200Ω以上) ライン:60mV (入力インピーダンス50kΩ) |
| 出力 | ライン:0.3V
(負荷インピーダンス50kΩ以上) ヘッドホン:8Ω |
| 外形寸法(幅×高さ×奥行mm) | 482×161×353
ラックハンドルなし幅440 |
| 重量 | 14.5kg |
| ヘッド | HD(ハイデンシティ)フェライトヘッド |
| 録音バイアス切替 | 3段(CrO2微調可) |
| 録音イコライザー切替 | 3段(CrO2微調可) |
| 主な機能 | マイク/ライン入力切替,ポーズ機構
ドルビーシステム,ピークレベルメーター タイマーコントロール,マイクアッテネーター メモリーオートストップ,メモリーオートプレイ REC MUTE,dbx接続可能 |
※本ページに掲載したC−1の写真,仕様表等は1979年5月のTEACのカタ
ログより抜粋したもので,ティアック株式会社に著作権があります。したがって,
これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますの
でご注意ください。
★メニューにもどる
現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象の
ある方,そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。